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散骨とはなにか?法律的に海や山に遺骨を撒くことは違法なの?海外では?

散骨

人生の最後をどう過ごすか、「終活」という言葉を街中で耳にする機会も増えてきました。

2019年、「楽天インサイト」のリサーチデータによると「終活」という言葉を知っている人は8割を超えています。

リサーチデータ(2019年)終活に関する調査|楽天インサイト
終活に関する調査のご案内。自主的に実施しました様々な国内調査を定期的に発信しています。(旧楽天リサーチ)

そんな終活で、最後に課題となるのがお墓の問題です。お墓の維持・管理の負担から子や孫たちに迷惑はかけられないと「墓じまい」を考える方も増えてきています。

お墓を無くし遺骨はどうするのか?その問いの先にあるのが、自然葬などと呼ばれている「散骨」という弔い方です。

弔いの形が多様化する昨今、海や山に「散骨」するということは、どういったことか?

それに伴う、法律などを日本や海外事情と合わせて解説していきます。

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散骨とは何か?

「散骨」とは、故人の火葬された遺骨を、粉骨(ご遺骨を砕いて)して、海や山、宇宙などに撒くことをさします。総称して「自然葬」とも呼ばれ、木の根元などに散骨する樹木葬、故人の愛した海などに散骨する海洋葬、バルーンやロケットで粉骨したご遺骨を宇宙へ飛ばす宇宙葬などがあります。散骨は、従来のお墓や墓標に埋葬せずに自然の循環の中にかえっていきます。(分骨して一部はお墓や手元供養される方もみえます)

海に遺骨を撒くことは違法なの? 注意しなければならない「民事」や「条例」

結論からお話すると、2019年現在日本の法律では、「散骨」は違法ではありません。

しかし、他人の私有地や漁業権のある場所での散骨は「民事」で問題になる可能性があります。

さらに山林などでの「散骨」は、地下水源の汚染の懸念や風評被害を避けるため地方自治体が「条例」として制定している場所もあります。

例として、北海道 長沼町では下記「長沼町さわやか環境づくり条例」で散骨に対する罰則を定めています。このように条例で定められている場所での散骨は違法となりますので注意が必要です。

長沼町さわやか環境づくり条例 平成17年3月16日条例第10号

第1条 この条例は、町の環境美化を推進するために、町、町民等、事業者及び土地占有者等の責務その他必要な事項を定め、良好でさわやかな環境を確保し、清潔で美しいまちづくりを進めることを目的とする。

第11条 何人も、墓地以外の場所で焼骨を散布してはならない。

第13条 町長は、第4条第3項、第6条第2項、第10条又は第11条の規定に違反していると認めたときは、その違反者に対し、必要な措置を講じるよう期限を定めて勧告することができる。

第14条 町長は、前条の規定による勧告を受けた者が、正当な理由がなくその勧告に従わないときは、期限を定めて勧告に従うことを命じることができる。

第17条

  1. 焼骨を散布する場所を提供することを業とした者は、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
  2. 第4条第3項又は第10条の規定に違反し、第14条の規定による命令に従わなかった者は、5万円以下の罰金又は科料に処する。
  3. 第11条の規定に違反し、第14条の規定による命令に従わなかった者は、2万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
  4. 第15条第1項の規定による調査を拒み、又は妨げた者は、2万円以下の罰金に処する。

条例で散骨を定める地域は、他にもあります。
・北海道七飯町
・北海道岩見沢市
・長野県諏訪市
・埼玉県本庄市
・静岡県御殿場市

ガイドラインとりて定めている地域

・静岡県熱海市
・静岡県伊東市

「散骨」を条例で規制する動きは広まっており、散骨を行う前に散骨する地域の条例を確認することが必要です。

散骨を取り巻く日本の法律 刑法190条や墓埋法

散骨を行うにあたり気をつけなければいけない法律が、(刑法190条)死体等遺棄罪と墓地・埋葬等に関する法律(墓埋法)です。

(刑法190条)死体等遺棄罪では、遺骨を遺棄した場合3年以下の懲役刑になると定められています。

第190条 死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三年以下の懲役に処する。

遺体やご遺骨、棺に納められている物を壊したりご遺体を遺棄したり盗んだりすることは違法で3年以下の懲役です。

墓地・埋葬等に関する法律(墓埋法)では、焼骨の埋蔵は、墓地以外区域にはしてはならないと定められています。

第 4条 埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行つてはならない。

墓地以外の場所に埋葬することは違法になります。

日本の法律面で「散骨」を見てきましたが、法律上非常に難しいことがわかります。

ではなぜ「散骨」が行えるのでしょうか?

1998年、旧厚生省の懇談会の中で法務省は、散骨に対し非公式ながら下記の見解を示しています。

希望するものが相当の節度をもって行う場合は、処罰の対象としない。今後は社会的な取り決めが設けられる事が望ましい。

としています。

「散骨」が行える背景には「葬送の自由」の保障は、いかなる制約にも服しないとする憲法13条前段に伴う解釈があるからです。

すべて国民は、個人として尊重される

「個人として尊重される」ことが、「個性を尊重する」ということから「尊厳ある葬送」を尊重し死後、自らの遺骨をどのように取り扱ってほしいかを「故人の意思」として尊重すると解釈できるからです。

刑法190条は、散骨するために遺骨を粉骨することは「尊厳ある葬送」の儀式の一つであり、「墓荒らし」などを念頭においた刑法190条はこれにあたらないとし、

墓地・埋葬等に関する法律(墓埋法)では、「埋葬=土に埋めること」で土に埋めなければ違法ではありません。

埋葬しない限り違法ではないので、海や宇宙に撒いても違法にならないのです。

散骨島として有名なカツラ島でも埋葬すると違法性が出てくることから土をかけられないのです。

樹木葬などを行っている場所のほとんどは、墓地として申請されている霊園敷地内ですので「散骨・樹木葬」といってはいても法律上はお墓と同じ扱いになります。

  • 散骨は「尊厳ある葬送」の一つで粉骨は刑法190条にはあたらない
  • 墓地・埋葬等に関する法律(墓埋法)では、「埋葬=土に埋めること」で土に埋めなければ違法ではない。
  • 希望するものが相当の「節度」をもって行う場合は、処罰の対象としないが今後は社会的な取り決めが設けられる事が望ましい。環境や周りの感情に配慮しなければならない。

海外では散骨できるの? 映画に見る散骨は?

映画では、象徴的なシーンで散骨が行われています。自然の循環の中に命が再び戻っていくという「演出」として使われています。

海外の散骨事情を有名な映画のロケ地を例に解説していきます。

映画 世界の中心で愛を叫ぶ

映画「世界の中心で愛を叫ぶ」ではエンディングでオーストラリアのウルル「エアーズロック」で散骨が行われます。ヒロインが行きたがっていた場所だからです。

しかし、実際のロケ地は、「キングスキャニオン」という別の場所で行われました。

エアーズロックは、オーストラリアの先住民である「アボリジニ」の聖地です。側面のくぼみや穴は「ノッチ」と呼ばれ精霊が宿っているとされています。

そのため、周辺は、男性が入れない場所や女性が入れない場所、写真を撮ってはいけない場所など様々です。

そういった場所で、散骨することは、モラルとして不可能です。

お墓が無い問題の解決案として「散骨」が一つの答えであること

散骨にかかわる現在の日本の法整備はこれからというところは否めません。

しかし、生活スタイルが多様化し生まれ育った故郷から離れなくてはならなくなった現代、従来型のお墓の維持ができなくなってきているのは事実です。

先祖代々のお墓が「無縁墓」になり増えています。永代供養型の納骨堂でも数十年先には他の遺骨と混ぜられ合葬される場合があります。

現在お墓に関する絶対的な「答え」は無いのかもしれません。

その中で、故人の意思が「散骨」を希望するのであれば、それが最良の答えなのかもしれません。

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