散骨という新しい供養の形をご検討の方々に
遺骨を供養する方法には、様々なかたちがあります。お墓を購入しお墓に納骨する方法。供養塔に納骨し永代供養をお寺にお願いする方法。中でも近年注目を集めているのが散骨という供養の方法です。遺骨を納骨するために、墓を購入する必要はなく、墓を管理する必要がないので、選択する人の数が増えているようです。
今回は、散骨の主な方法と散骨にかかる費用、個人で散骨を行う為の注意、などご紹介いたします。
散骨方法と費用相場
遺骨を散骨する場合の代表的な方法と相場費用をご紹介します。
樹木葬
樹木葬は、遺骨を霊園内の墓石や天然木々や花の下に散骨する方法です。遺骨を粉状に粉骨したのち埋葬する為、散骨として扱われているようです。
樹木葬では基本的にお寺や葬儀会社が管理する敷地内でお墓同様、永代供養が行われます。供養塔に納骨する方式に近いですが敷地が別々に用意されている為、何年か供養された後、最終的に他人の遺骨と混ぜられてしまうなどのことはありません。
費用相場:約50万円 金額だけみるとかかるようですが、『三十三回忌まではしっかり供養』など手厚い供養が行われます。
※樹木葬は許可を得ている場所でのみ行うことができ、個人で近隣の山や私有地に埋葬する場合法令違反となり注意が必要です。
海洋散骨
海洋散骨は海に粉骨した遺骨を撒く供養の方法です。専門の業者に遺骨の粉骨や船を手配してもらうことができます。
■個人での散骨
ご遺族、ご親族のみで行います。船を特別にチャーターすることで、ゆっくりとお見送りする事ができます。
しかし、船を貸し切るため費用は高くなります。
費用相場:20〜30万円
■他のご親族との合同散骨
複数のご遺族、ご親族と合同で散骨を行います。船が合同になるため費用は比較的安いですが、個人での散骨に比べて船に乗船できる人数に制限があります。また出航スケジュールも限定されます。
費用相場:約10万円
■委託による散骨
ご遺族やご親族は、散骨に立ち会う事ができません。散骨業者が代理で散骨を行います。自ら散骨を行う事ができませんが、その分費用を抑えることができます。業者によっては、写真や散骨証明書を提供する業者もあります。
費用相場:約5万円
個人で散骨を行う場合の注意・法規的な問題など
2018年現在、散骨を規定する法律はありません。
しかし、散骨を行う場合周囲に迷惑をかけないようにしなければなりません。散骨を自分で行おうと思う方は下記の事に注意してください。
粉状になるまで遺骨を粉砕する
散骨を行う場合、遺骨を粉に粉砕(粉骨)しなければなりません。日本の法律では、遺骨遺棄罪というものがあり、遺骨ということがわかる状態で海に散骨するとこの法律に接触する可能性があります。
遺骨遺棄罪 刑法の原文
刑法190条:死体,遺骨,遺髪または棺内に蔵置した物を損壊,遺棄または領得する罪で,刑は三年以下の懲役
刑法第191条:墳墓発掘罪を犯し、死体、遺骨、遺髪、または棺内に蔵置した物を損壊、遺棄または領得した者は、三月以上五年以下の懲役に処する
※厚生省では、散骨の様な葬送の方法については、墓地埋葬法では想定しておらず法律の対象外であると表明しました。
※しかし現在新しい条例などが検討されている地域もあり場所により注意が必要です。
散骨する場所は周囲への配慮が不可欠です
散骨を行う場合は、周囲の環境に配慮する事が大切です。業者を通して行う場合は周辺の漁業関係者などと協議した上で散骨を行いますが、個人で行う場合には注意が必要です。
ビーチの近くで行う場合は、目立たない海岸か沖に数キロ行ったところが良いでしょう。
愛する人の理解を大切にそして・・・
生前に本人の希望があった場合でも、親族の意見をしっかりと話しあったうえで、弔いの方法は選んだ方が良いでしょう。
特に海洋散骨や粉骨を行ってしまった場合、遺骨が戻らない場合もあります。のちのトラブルに発展する場合もあるのでしっかりと話し合っ他上で選ぶ事をお勧めします。